SDIのメッセージ

(27)With コロナ~「生き残り組」と「敗退組」をわけるものとは?

来店のハードルが厳しくなっている!

日本はオーバーストアと言われて久しいが、コロナを通してよりはっきりと「生き残り組」と「敗退組」の明暗が浮き彫りになったのではないだろうか。
インバウンド景気があるうちは、ブランドや店舗格差もそれほどはっきりとは見えず、「どこもそれなりにお客様が入っている」という光景が当たり前だった。
しかし、コロナでインバウンドの波が去り、その後自粛解禁ムードも生まれてきたが、同じ百貨店やモールでも、お客様が入ってい
る店と閑散としたままの店がはっきりと表れている。
すなわち一概に「コロナのせいで・・」ともいえないシビアな現実がそこには存在している。

ブランド店 店頭接客 コロナ後家にいる時間、大半の人はネットとつながる時間が長くなった。そこでいろいろな情報に触れ、興味のあるものはより深く調べ、
そのうえで“必要と感じるところに目的的に行く”、というパターンが以前より増えた、と思われる。
つまり、入店いただく確率を高めるには、事前に何らかの情報による接点が存在し、且つそこに何かしら魅力を感じていただくと
いう点がより重要になってきている。

コロナ後も「入店待ちをお願いしている状況です」という忙しさのお店のスタッフの話を聞くと、コロナ前に比べると、“ここに来る意義”を感じてこられているお客様、すなわち「待ってでも入店したい」というお客様が多いという。
もちろんブランドイメージや広告、メルマガ等の威力もあるが、それだけに依存するのではなく、個々のスタッフによる個別アプロー
チ(電話、メール)の効果も大きいという。
「正直、以前はインバウンドもあって、なかなか個々のお客様と丁寧にコンタクトをとる時間がなく、購入後そのまま休眠になって
いた方もいらっしゃいました。でもあえて今回情報を整理して、それぞれのお客様向けに、ご挨拶や様子伺い、以前した会話な
どをもとにパーソナルな話題も入れたお電話やメールをしたところ、ご来店につながっているケースが着実に増えました」とのこと。
「それを通して、逆に改めてお客様と久しぶりに会話する楽しい接客も味わえ、とても勉強になっています」という声を聞く。

メガブランドと言われるところでも、ただ受け身で待っているだけ、では津波のような広告競争の中で求心力は徐々に衰えてい
く。ネットを超えた人対人のかかわりについて、再度掘り下げてアクションプランを練ることが求められる。

一方で、「過去に顧客管理を丁寧に行ってこなかったので、いざ働きかけるとなると・・・」という悩みも聞く。
情報がない、担当者も変わっている、そこまで近しい距離でもない、となるとパーソナルな働きかけも狭められる。
すると、“待ち”の体制しか作れず、ひたすらご来店を待つしかない。
ところがご来店数自体も1日数組と限られているため、空いた時間が多くなり、モチベーションも保ちにくくなる。
たまにお客様が入店されても、ぐるりと見まわしてあっさり帰って行かれるとよけいに落ち込んでしまう。
そのうち「来ないものはしょうがない。手の打ちようがない。どうしようもない中で、売れるものも売れない!」という想いが強化される。ゆえに、売り上げ進捗が悪くても「どうすべきかのアイディア」が浮かんでこない、という負のサイクルにはまってしまう、という実例も見聞きする。

現実には、前者と後者、すなわち好循環と悪循環の二極化がはっきりと進んでいると感じる。

転んでもただで起きない

私の好きな言葉に「転んでもただで起きない」ということわざがある。
子供はもちろん、大人になっても、ベテランと言われるようになっても、何かで転ぶことはある。
用心のために「転ばぬ先の杖」「石橋をたたいて渡る」という注意も必要だが、注意していても転ぶときは転ぶ。
特に、今回のコロナを含め、天災その他環境要因によって吹き飛ばされ、転ぶことも現実にはある。
となると、今求められるのは、思いがけず転んでしまったときに「どう考え」、「そこからどういうアクションをとるか」ではないか。

「わたしの不注意のせいで転んだのではない!」と周りに主張し続けるだけの店長もいる。
転んだまま誰かが起こしてくれるのをじっと待っている店長もいる。
あるいは、「痛い、痛い」と泣き叫んでいるだけの店長もいる。
痛さを我慢して立ち上がったものの、そこからどうしてよいのかわからない、という店長もいる。
様々なリアクションがある。

ただ、その中で「転んでもただで起きない」店長は、その経験から、「転びそうなリスクを事前にどうキャッチすればよいか」「この程度では転ばない強さ、しなやかさを持つには?」「転んでもかすり傷程度で終わるよう、日ごろから鍛えておくべきことは?」
・・など、“次に備えてやるべきこと”を考え、実行可能な状態を創る。
すなわち、過去の経験はすべて未来に活かすためにある、という前提で物事をとらえる力を持っている。

過去、リーマンショック初め、いろいろな環境変化をポジティブに乗り越えてきた店長は、共通してそういう貪欲な吸収意欲と、それをより良く生かす戦略思考をもっている。

そんなことを考えているときに、先日ある店長が話してくれた言葉が非常に心に響いた。

「コロナで入店数は明らかに減りました。正直、これまで多くの人に入店いただいて当たり前、という状態だったので、店舗として顧客はそれほどいらっしゃらない状態した。しかし、会社から、予算は昨年並みかそれ以上達成するようにと言われました。

ただ、“できないことはない”と思いましたし、ある意味“良い機会だ”、と思いました。☚ここがポイント!

なぜなら、本来自分としてはもっと顧客づくりに力を入れたい、と思ってきたのですが、それが忙しさの中で流されていた面もあったので、より本気でやれるチャンスが来た、と思ったからです。スタッフにも危機感が芽生えたのが最大のチャンスです。

そこで、そこから、何をどうすべきか?をディスカッションしあいました。
“これからは顧客様を創ることなくして、お店の未来はない!”、という前提で考えると、やるべきことでやっていなかったことがスタッフからもいろいろ出てきました。それを整理した上で、「これをより楽しくするには?」という工夫を入れて、アクションが定着するようにしました。

一例を挙げれば、一点販売して満足していたのを、コーディネートを楽しんでいただいて複数お買い上げいただこう、とした際、コーディネート知識が乏しいスタッフはどうしても尻込みします。その壁を突破するために、チーム内で“突撃隊”を創り、その人が空いた時間に店頭に立っているスタッフのところへランダムに行って、「今から●秒で、これに合う商品をピックアップし、お勧めを言ってください」と伝える。それを写真にとり、チーム内でLINE共有し、それに対して皆が褒め合ったり、コメントしあう。
実はそこには「一石五鳥、十鳥の効果」(スキルアップ、情報共有、競争意識、満足感、成長意欲・・・)が埋め込まれている。
それ以外のアクションも日々の行動に落とし込まれていることにより、お店は昨年を大幅に超えた予算を達成でき、スタッフも自信がついてきている。

考えてみれば、「スタッフの主体性」ということが叫ばれて久しいが、それが浸透すればするほど、リーダーの出番は少なくてすむ。では、最もリーダーが必要とされるときは?と考えると、やはり今回のような想定しない危機の場面である。そういうときに真価を発揮できるリーダーになるためにも、「転んでもただで起きない」精神は少しは役立つかもしれない。

以上

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