ラグジュアリーブランド店長ブログ

(25)―KPIを活用し、健康で筋肉質な店舗を創る!

■体組成測定とKPI

スポーツジムは会員の継続利用を促進するため、様々な取り組みをしているが、その中の一つが「体組成測定結果」のアウトプットである。
せっかく会員になっても、ジム通いが習慣になっていないと、「忙しくて時間がないし・・」「今日は混んでいそうだし・・」「雨だし面倒だな」という言い訳が頭をもたげ、「ま、今日はいいか」となりがちである。
また、「結構頑張ってやっている割に、見た目がそんなに変わらない。果たして私に効果があるのだろうか」という疑念もわいてくる。
それらの心理的壁を克服してもらうためには、「努力すればそれだけ着実に結果につながる」ということを体感してもらい、「もっとやれば、もっと素晴らしい結果になる」と信じて継続してもらうことである。
そこで、“見た目や印象”という感覚的指標ではなく、「数値による見える化」のツールとして、体組成測定は大きな武器となる。

KPI

体組成測定は、体重だけでなく、表から見えにくい「体脂肪率」「筋肉量」「内蔵脂肪」「推定骨量」を全体及び体の部位ごとに数値として出す。
大切なのは、数値結果を出して終わりではなく、それを踏まえて「特にどこの部位を強化すれば、あなたが目指す体になれるか」という課題を明確にし、「そのためには、~のメニューをもっと増やせばバランスよくなります」「食事は~に気をつければさらに効果的です」というアクションプランにつなげることである。
たとえば○○さんは、身長・体重は平均値であるが、体脂肪率、内臓脂肪率が平均を上回っており、このままいくと完全にメタボ体質になる。となると、ただ体重を減らせばよい、ではなく、まずは“内臓脂肪減”に焦点を当てて、食事療法、運動療法など、自分に合った効果的なやり方を決め取り組む。時に苦しいこともあるが、定期的に体組成測定をすることで、目指す方向に着実に一歩一歩近づいている、という実感が持てれば、継続的に取り組める。そしてそれがいつの間にか習慣化し、やらないと気持ち悪い、という効果をもたらす。それが体質転換につながる。

この仕組みを店舗にあてはめてみると、店長はジムのコーチであり、スタッフは会員という関係によく似ている。
店舗の予算達成やビジョン実現のために、スタッフに負荷のかかる施策を展開しなければならない、という場面はよくある。
「~のために~をしてください」と言えば、スタッフは指示通り動いてはくれるが、慣れないことは長続きしないことも多い。
その都度粘り強く注意・指摘してやらせる方法もあるが、お互いに心理的負担は増大する。

その時主体的且つ継続的に取り組んでもらうために活用できるのが、体組成測定結果、それがKPI(キーパフォーマンスインディケーター:重要業績指標)である。

KPIは、目指すゴール、すなわちただ理想体重になったというだけでなく、きちんと筋肉質で健康な店舗になっているか、を見える化するツールである。
KPIを他店や他ブランドと比較して、店舗の特性やスタッフの強み・弱みをあぶりだし、それをもとに課題をしぼり、アクションプランに落とし込むことで、無駄なく適切にゴールにたどりつける。
且つ、その数値が動くことで、スタッフは自分たちがやっていることが着実に成果につながっていることも実感できることから、取り組みの継続もしやすくなる。

●店舗の売り上げ=入店数×買い上げ率×客単価(=商品単価×販売点数)

■Aさんの店舗の事例

店舗 KPI

Aさんの店舗では、全体の売り上げだけ見るときには、「予算がいった、いかない」で一喜一憂していたが、KPIを毎週チェックするようになって、いろいろ課題が見えてきた。
たとえば、UPT(一客あたりの販売点数)が1.18であり、全体平均の1.22より0.04低かった。
一見些細な差に見えるが、1か月のお買い上げ客数が平均300組であることから、もしUPTが1.22販売できていれば、366点販売できたはずである。しかし現実は、354点。商品単価が10万円であることを考慮すると、12個×10万円=120万円チャンスを逃している。年間を通しては、120万円×12か月=1,440万円の差となる。

それが見えるようになって、Aさんはより具体的な取り組みができるようになったという。
たとえば売り上げが悪い時でも、いきなり焦って施策を行うのではなく、まずはKPIに分解して実態を掴む。すなわち健康診断を行う。そのうえで、何が強みで、何が弱みかをスタッフと共に見える化し、特に今はどこに手を打てば売り上げ改善につながるのか?を絞り込み、そのための施策を一緒に考えて取り組んでいる。

「UPTを0.04上げるということはどういうことかを考えます。300組のうち、2点お買い上げいただいている方が現状54人いらっしゃいますが、それを66人に増やすということです。つまり今より毎月12名以上の方に2点お買い上げいただけるように働きかける。一週間で考えると、毎週+3名の方に2点ご購入いただけるようにする、ということです。」

「そのためには、スタッフのスキルアップや積極的な行動が新たに必要になります。たとえば、コーディネートの知識、納得感の高いお勧めの仕方、タイミング、さりげないフォロー接客、そのための準備、トレーニングなどなど。でも、それを計画的に行うことで、よりお客様に合ったスタイリングを考える力が付きますし、お客さまともしっかり会話して信頼を獲得することにもつながります。押し売りで売れる時代ではありませんし、お客様も感度が高いので、それを超えていくためにも日々のトレーニングが欠かせません。」

「ただ、そうすることで、環境が厳しくなってもきちんと顧客を創れるスタッフが育ちますし、店舗としても動じない強いお店になっていけますから、まさに王道です。UPTが高いということは、その証明にもなります。だから一丸となってしっかりこの数値を追いかけたいと思います。」

単に「商品を2点お見せする」という表面的施策で終わらせず、UPTを「実力指標」ととらえ、アップを狙っていくという共通目標に対し、スタッフも意図をよく理解して積極的にお互いの接客に対するフォローも行っていた。

真の体力づくりと同じで、それが当たり前の習慣となり、店舗風土も変わっていく。
KPIを診断ツールとして上手に活用しているAさんのお店は、“しなやかで、且つぶれない強さ”を感じさせるお店だった。

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