SDIのメッセージ

(12)“かっこいい店長”であるためには

「出世したいと思わない」「偉くなりたいと思わない」日本の若者の声

 若者の意識に関するアンケートをとると、アメリカや中国の若者と比べ日本の若者は「出世したい」「偉くなりたい」と思う率が圧倒的に少ないという結果が出る。

面白いのはその分析の仕方で、一説によると“大陸”と”島国“という環境も影響しているとのこと。すなわち、

※大陸⇒広く様々なところで成功できるチャンスがある⇒一か所でだめでも、他の場所でまだまだ可能性は残されており、挑戦しやすい風土・考え方が根付いている。

それに比べ

※島国⇒限られた領土⇒パイの取り合い⇒可能性は低い⇒誰かが偉くなるには、誰かの犠牲が伴う⇒波風や軋轢を起こしたくない、出る杭は打たれる⇒挑戦するより、仲間と仲良く自分のペースでという考え方になりやすい、と分析している。

しかし、戦後しばらくの時代は日本も「出世競争」が当たり前だったことを考えると、“競争して上に這い上がらなくてもそこそこ豊

かに生きていける。むしろ、出世競争時代の嫌な面を見て、学習してしまった”という側面もあると考えられる。

店舗で働く若いスタッフと話をしていても、「出世」という物差しでの上昇志向はあまり感じられない。

だからといって「下手に責任を負わず、楽をしたい」と思っているわけではない。

多くの場合そこには、「個人の出世」ではなく、「お役立ち」という物差しでの良い意味での上昇志向が存在している。

「マネージャーになりたい」というスタッフに「なぜ?」と聞くと、「偉くなるため」ではなく、人がより働きやすくやりがいを感じられるような環境づくりに貢献したい、人の育成に関わりたい、チームで何かを成し遂げたい、という動機が中心である。

その素直な表情を見ていると、「お金はあとでついてくるものであって、第一目的はより誰かのために役に立てる存在になりたい」という想いが伝わってくる。

実際、「どんなマネージャーになりたいか?」と聞くと、「自分で好きなようにチームをコントロールしたい」「輝かしい成果を出して自分の力を示したい」「会社の期待に応えて、キャリアを開発していけるマネージャー」という割合はごくわずかである。(どちらかというと男性スタッフに多い)

圧倒的に多いのは、「スタッフの良いところを伸ばしてあげられるマネージャー」「皆がのびのびと意見を言い合えて協力し合えるようにリードできるマネージャー」「目的をきちんと共有して納得感をもって仕事ができる状況を創れるマネージャー」など、あくまでスタッフの視点を中心に、マネージャーの役割をとらえている。

これも、先述したのと同じように“利益が上がらずこのままいくと退店もありうる”という切羽詰まった状況までは追い込まれておらず、「数字はその結果としてついてくる」というスタンスで考える余裕があるからともいえる。

いずれにせよ、そういう素直な動機がパワーとなって表に出てくると、会社から見てポテンシャルを発見しやすく、次期マネージャーにも困らないはずである。が、実際には「マネージャーのなり手がなくて」「内部から上げたいけれど、難しくて・・」というジレンマも存在している。

マネジメントのしんどい面がクローズアップされる?

その要因の一つは、「マネージャーになってこんなに良かった!」という体験談や率直な声よりも、逆に「こんなに大変」という情報の方が圧倒的に多いことに気づく。理由として考えられるのは、やはり日本人は謙虚なので、「こんなに良かった」というのは、自分の自慢をしているようだという“後ろめたさ”や“はしたなさ”を感じるという心理的側面もあると思われる。

結果的に、良い面として見えてくるのは、本人の声以上に「店長会で~へ出張できた」「~手当がつく」「~できる機会が与えられている」など、会社側がその苦労をねぎらって払っているインセンティブが中心となる。しかし、それでは前述したような出世意欲の希薄な人にはさほど魅力には映らない。

そう考えると、本来はもっとマネージャー自身から、「マネージャーになってこういうことを乗り越えて~でさらに役に立つことがきた時の喜びは大きい」「マネージャーだからこそ、皆が~と言ってくれることで本当に嬉しさが半端ない」など、もっと大変に基づく感動やポジティブな発信が日ごろから行われていることが重要ではないか。

私は15年前にある研修会社から独立して、3名で会社を立ち上げスタートさせた。その際、当然先行きの不安、いちからすべてを自分で行うという大変さ等々あった。多くの方から「大変ですね」と声もかけていただいた。しかし、その際素直に心の声として「ええ。でもやっぱり独立してみてよかったです。知らなかったことをたくさん学べますし、自分を見直すことにもつながります。それがこんなに楽しい!と言えるし、ほかの皆さんにも独立することをお勧めしたいくらいです。“独立して会社生活を100倍楽しむ法”という本を出したいくらいです」と答えていた。(今もその気持ちは変わっていないけれど)

実際、そういうことで自分にもエネルギーがわき、さらに前向きに頑張ろう、とも思えた。

店長もかけがえのない素晴らしい体験を日々できているからこそ、大変な中でも継続して頑張れたり、意欲をもって新たなことにも挑戦できているはずである。ただ、その想いをどれだけ素直に自分の言動を通して日ごろからスタッフに伝えられているかを点検してみてはいかがだろうか。

入社6か月目のスタッフに目標を語ってもらったら

「私は数年後にはマネージャーになっていたいです。なぜなら、配属された店のマネージャーが本当に毎日楽しそうに働いていらっしゃって、心から尊敬しているからです。お店が明るいのもマネージャーのおかげかな、とも思いますし、あんな素敵でカッコいいマネージャーになりたいです」

マネージャーがそうなるためには、見えない努力もあると思うが、「マネージャーというポジションをいかに楽しめるか?」を追求するのもこれからの働き方としては非常に重要だと考えさせられた新人スタッフの発言だった。

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