SDIのメッセージ

(7)店長と育成  チームワークの正体とは?良くするためのカギは?

■「チームワーク」のとらえ方はスタッフによって様々異なる

 「うちのお店の悩みはチームワークが悪いことです」「お客様はチームワークの良いお店に居心地の良さを感じると思う」「結果としてチームワークと業績は比例している」等々の発言を聞く機会は多い。すなわち、チームワークが店舗の業績、運営、お客様の満足度に少なからず影響を及ぼしているという認識はかなり浸透していると言える。

一人の優秀な販売スタッフや、カリスマ的な店長だけが突出していても、それがチームワークにつながっていなければ、結果として店舗全体の「業績を上げ続ける(●●●●●●)」ことにはつながらない。なぜなら、その人が休んだり、異動すれば数字が落ちる、というだけでなく、他のスタッフのモラールやスキルアップが伴っていないことで、様々な弱点が浮かび上がるからでもある。

高品質サービスを提供し、顧客の定着化を図ることがより重視されている今の時代は、この「チームワーク」がこれまで以上に重要性を増している。

しかし、「チームワーク」という言葉は概念があいまいで、人それぞれのとらえ方があるのも事実である。

たとえば、「チームワークがいいとはどういう店舗のことを言うか?」と聞くと、スタッフによって様々な意見が出てくる。

「皆仲が良く、いじめがない」「誰とでも話がしやすい」「店長とも壁がなく、気軽に話ができる」というレベルもあれば

「会社や業務に関する情報はもちろん、接客したお客様に関する情報もしっかり共有できていて、誰もが同じレベルで分かっている」「いちいち何か言わなくても、視線や雰囲気でお互いにどうフォローすべきかがわかって動ける状態」というレベルまである。

そう考えると、「チームワークがいい店舗にしましょう!」と店長がスタッフに伝えるだけでは、スタッフごとでとらえ方が異なり、逆にちぐはぐになる恐れも出てくる。店長はチームワークを具体的に分解し、今できていること、今後強化すべきこと、そのために具体的に取り組むべきこと、まで明確に発信することが重要になる。

チームワークの正体と、格差の要因とは?

まず同じ5人の店でも「チームとし機能させる」には以下の条件が必須となる。

①チームとしての共通の目標、目的があり、全員にきちんと共有されている。

②それを達成するために必要な役割分担があり、各自遂行している。

③目標達成のために情報を共有し、足りない点は補完しあい、連携している。

④共通で守るべきルールがあり、遵守されている。

⑤お互いを尊重し、それぞれの強みを互いに認め、活用している。

これらの条件が一つでも崩れ始めると、実際には「チームとして機能していない」状態となるし、当然目標達成は不可能となる。

おそらく「すべてできていない」という店舗は存在しない。どの店長も重要性はある程度理解して、よいチームにしようと努力はしている。では、何で差がつくのか?

様々な事例から、私自身が感じている格差の主な要因は「店長のチーム作りに対するこだわり方」、言い換えるとそのためにどれだけのエネルギーを投入する覚悟があるか?である。

店舗予算を達成するには、様々な切り口、取り組みがあるが、その際に

①「チームワーク」を基盤にし、その基盤を盤石にすることにエネルギーを注ぐ店長か、

②チームワークの重要性はわかっているものの、短期的に数字につながる道を優先し、気が付いたら「チームワーク」基盤がさほど強くない状況をつくってしまっている店長かの違いである。

前者の“こだわりを持った店長”は、上記のチームワークの条件を「スタッフから見て当たり前」にするレベルで徹底を図る。

たとえば、「チームとしての共通の目標、目的(背景)」を明確に示し、わからせただけでは満足しない。個々のビジョン・関心とどう関係し、1か月、その目標達成に向けてアクションをとり続けることが、どういう意義・メリットを持つかを理解できるまで落とし込む。理解度に差はあるのは当然なため、特になかなか共有が難しいスタッフに関しては「何が阻害要因か」「どうすればより当事者意識になってもらえるか」を考え根気強く働きかけるだけでなく、少しでも成功体験を積んでもらえるような環境を作り、行動面から弾みをつけさせようと取り組んでいる。

そういう地道な種まきがあってこそ、徐々にベクトルが合致してきて、それ以降共通目標を伝えた際、全員への浸透が速く、結果的に効率を上げている。

また、スタッフの行動をよく観察していて、他へのフォローができている際は、きちんと「ありがとう」とフィードバックし、他のスタッフもそれをまねようとするムードを創り出している。

目標進捗に関しても常に情報を共有し、皆で声に出して喜び合う機会を創り出す。ダメな時は「惜しかった。次は~しよう。他の人も積極的にフォローして!」と発信する。すると店長不在時でも他のスタッフが同じような発信をし始める。

さらに個々の売り上げ目標が達成できたことだけに注目するのではなく、店舗全体の結果につながるように具体的にどのように他のスタッフと関わったか、貢献できたか、を見て評価及びフィードバックを行う。

「評価は最大の動機づけ」と言われるように、「店長が何を本当に重視しているか」は、スタッフは「何をどう評価されたか」で感じる。それをしっかり活用して、チーム貢献が自分の可能性を拓く道ということをわからせている。

そういうことを日々やっているうちにスタッフの中で「一人で戦っている」という感覚は薄れていき、「常に皆で戦っている」という意識が刷り込まれる。

おのずと他の人の動きも視界に入ってくるし、「自分がどう動けば他の人が助かるか」という認識も芽生えてくる。

「何をしてもらえるか」ではなく、先に「何ができるか」を考えて動ける人を一人でも多く作るための、計画的且つ継続的な取り組みの結果である。

■継続は力-見えない努力の積み重ねの威力

私がお会いした中でも、特にチーム作りに優れた成果を上げている店長曰く

「他店の店長や百貨店から、“あなたの店舗はいいスタッフがそろっていていいね”とほめていただくことが多いですが、私がこの店舗に異動してきて、最初にそういうやり方を当たり前にしたいと思って取り組んだことで、新しく入ってくる人も自然に先輩の言動を見て、同じように率先して動いてくれます。結果的にいいスタッフになっていくということでしょうか。

数字のため、お客様のためだけでなく、“一人一人がこの店舗で働いていてよかったと思える”お店にしていくには、店長が一人でどれだけ声高に発信しても無理です。最終的にそれを創り出すのは、スタッフ自身の言動でしかありません。

でも一人一人考えが若干違ったりするので、そこに橋を架けるまでは大変な工事(労力)も必要です。

が、いったん橋が架かればみんなが気持ちよく行き来できます。橋があって当たり前の状態ですから、わざわざ橋を壊したいという気持ちにもなりません。多少の嵐では崩れない橋を作るために、店長は強い基盤・橋脚を築くのが仕事でしょうね」

「業績を上げる」だけでなく「上げ続ける」というミッションを考えると、短期だけでなく中長期の視点で、基盤づくりが求められる。

今の時代は変化が速いだけに精神的にも時間的にも余裕が持ちにくい。

しかし、そういう時代だからこそお客様は「にわか仕立ての店舗」か、「教育もしっかりした信頼を寄せられる店舗」かをある意味シビアにしっかり見ている。と

なると、先を見て、まずできることから地道にコツコツ取り組むことは、決して無駄にはならない。

「継続は力なり」という原理原則はチームワークづくりにおいて、今の時代でも変わらないと考えるのである。

 

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